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2008年1月30日 (水)

梶原一騎・川崎のぼる原作/村上よしゆき・画『新約「巨人の星」花形』講談社、2006年~

最近は久米田康司『さよなら絶望先生』は読んでいるものの、『少年マガジン』って、読まない雑誌なんだよね。その理由を考えるに、おそらく10年後にも読みうる傑作漫画がない、というところにあると思う。たしかにかつては『巨人の星』、『あしたのジョー』、『デビルマン』など、超一級品を生み出したのは『マガジン』である。しかし、私が漫画を読み始めてからの『マガジン』で、そうしたものって生まれているだろうか。『はじめの一歩』、うーん、最初の方は読んでいたけど、これが漫画史に残る大傑作とはいえないよなぁ。『金田一少年の事件簿』、これはたしかに現在でも連載しているらしいし、読みうる作品かもしれないけど、何かが足らない。今だと『ネギま』が代表作だろうけど、私は萌漫画は読まないので、評価はできない。

思うに私の勝手な印象では、『ジャンプ』=普通の人とオタクが読む、『サンデー』=オタクが読む、『マガジン』=普通の人が読む、という図式があるような気がする。ここでいう「普通の人」とは、年をとるに従って漫画を読まなくなる人、もしくは後に青年誌に移るが雑誌派で単行本を買わない人、「オタク」はいつまでも漫画を読み続けて雑誌よりも単行本を買う人、という意味で深い意味はない。で、『マガジン』読者は、雑誌掲載作品は、暇つぶしに読むのだが、単行本は買わないので、作品への思いいれはなく、単行本が売れないと他への影響力はないし、思い入れがないので作品を語る人もいない、ということで名作が生まれにくい、ということになるのではなかろうか。まぁ、実際、雑誌自体を読んでいないので、大した根拠はないので、そんな印象を持ってしまう。

で、『花形』である。いわずと知れた『巨人の星』の花形満を主人公にした「新約」作品である。作品の内容自体は、画は『マガジン』らしい綺麗な絵で読みやすいし、ストーリーも『マガジン』らしい不良漫画テイストとスポーツ漫画の王道らしく人間関係を軸にしたよくできたものである。だから「面白い」といえる。花形は、現在の美男の基準で描かれているし、無免スポーツカーではなく、バイクとしたところもカッコイイし、星飛雄馬が出てくるところは、かなり興奮する。私もすいすい第6巻まで読めてしまった。私は野球漫画が多分好きなんだろう。

しかし、どうも気になるところがある。それは、作家の問題というより、編集者の問題といえようか。安易によそからのストーリーやセリフを拝借したりするのが、ミエミエなあたりが気になる。たとえば、髪型をバカにされるとキレる不良は『ジョジョの奇妙な冒険』の仗助だし、花形が中学の野球部に入ろうとすると、そこは不良の溜まり場で、キャプテンが使い走りに使われるところでの理由が、部員に辞められると野球部が廃部になる、というもの。これって、『MAJOR』の小森君のエピソードそのままじゃないか。野球の道を断たれて、逆恨みして不良とつるんで部を廃部させようって『スラムダンク』の三井君じゃないか。あと、最近では花形が唐突にまだ大して信頼関係を築いていない自信のない投手を説得する際、「お前が信じる、俺を信じろ」って、『グレンラガン』のカミナでしょう。オリジナルなんてものは、世の中にほとんどないのは当然だが、あからさまにパロディと分かるものでもなければ、分からないように自然に使われるものでもない。何かこういう安易な拝借をしてしまうあたりが、『マガジン』の体質のような気がしてならない。

かつて、『マガジン』に『TENKA FUBU 信長』という作品が連載されていて、竹中半兵衛登場の際、彼の軍師としての能力を紹介するエピソードとして、女官を軍事演習に使って、ふざけていた女官を斬り殺して軍の規律を示すというシーンがあった(その後、ホントは殺していないということになっている)。「これって、孫子じゃん」って、ツッコミを入れた読者も多かったと思うが、こんな有名なエピソードを平気で入れられる作者と編集者の態度に私はあきれたものだ。どうも『マガジン』って、読者をバカにしたような、その場しのぎのつくりをやってしまう雰囲気があるような気がしてならない。これが、読者が雑誌読者で単行本で読み返さないというのを想定しているかのようなやり方である。だから、どうも名作が生まれにくい構造があるんじゃないか。

本作『花形』は、けっこうつづきの気になる面白い方の漫画だ。だから、もう少し慎重に育てて欲しい。私はそれほど原作に思い入れがないので、「原作の冒瀆」とは思わない。でも、あまり読者をバカにするような作品にはして欲しくない。

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