高橋洋一『さらば財務省!』講談社、2008年
「小泉改革」における司令塔・竹中平蔵氏の実務担当者として、「郵政民営化」「道路公団民営化」「政策金融改革」をデザインし、安倍政権では竹中氏を引き継ぐかたちで安倍晋三氏に任用された高橋氏の作品。これを読めば、「小泉改革」とは何であったか、安倍政権は何故つぶれてしまったかのある一面がわかるようだ。
これを読んでいると、マスコミ報道や同時代の評論などか、いかにあてにならないかが分かるが、現在において重要なのは、消費税増税によって財政再建を目指す「財政タカ派」と経済成長によって財政の健全化をめざす「上げ潮派」の対立ということになろう。著者は、いわゆる「リフレ派」と呼ばれる低インフレを導く金融政策によってデフレを脱却して経済成長を成し遂げようとする立場にある。現在、「財政タカ派」を代表するのは、谷垣禎一氏と与謝野馨氏で、「経済成長派」は中川秀直氏だ。著者の中川氏への評価は、マスコミ報道に比して著しく高い。森政権時のスキャンダルによって、大臣ポストへの道が遠い氏が、小泉・安倍政権で党役員として活躍したのは、記憶に新しいが、現在は福田政権を裏で支えているとはいえ、この二派以外のいわゆる守旧派が復権を果たした今精彩を欠いている。一方、「財政タカ派」はマスコミ受けもよく、谷垣氏はリベラル派を代表する政治家で現在も政調会長にあり、与謝野氏は麻生太郎氏の盟友であるから、麻生内閣においては重要ポストに挙がるだろう。
それを考えると、今後の福田内閣がどうなるかはわからないが、次期政権の可能性のある谷垣氏、麻生氏ともに「財政タカ派」の政権となり、消費税増税は避けられないようだし、現在混迷している日銀総裁人事もインフレ恐怖症の日銀人脈の中から選びたい民主党の意向を考慮すると、「成長派」に目はないようだ。そこで現在可能性があると考えられる「成長派」の内閣の首班とは誰か、ということになると、思い浮かばないが、小泉・竹中路線の象徴であり、中川氏の復権も見られそうな人物は、、
小池百合子氏
ということになる。これはずいぶんと怖ろしい予測だ。対テロ特措法の時に、「米国が怒るから、法案を通せ」となんとも情けない主張をした防衛大臣が首相になるのかと思うとさびしい感じだが、経済政策について未知数な分、高橋氏が行財政担当大臣、中川氏が財務大臣という形で振り付けも可能であろう。別に小池政権を待望しているわけではないが、高橋氏のような逸材が行政に帰ってくることを望むのなら、これが適当なような気もする。
まぁ、そんな先のことは気にせず、小泉・安倍時代を回顧するには欠かせない作品であるのは確か。しかし、題名は酷いな。
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