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2008年4月 2日 (水)

村上もとか『JIN-仁-』集英社

歴史漫画というものには、あたりハズレがあって、手にするのにどうも勇気がいる。読めば面白いのだろうけど、手にしてガッカリという徒労が歴史好きなだけに重くのしかかるのだ。

今回読んでみた本作は、あたり!面白すぎる。現代から過去のある時代にタイムスリップしてしまうという話もこれまでにもいくつかあったが、一体どのような職業の人間がそこにいれば役に立ち、また当時の一流の人物と交わることが可能か。作者が出した答えは、医者だった。これはたしかにそのとおりだろう。村上もとかといえば、私の世代では『六三四の剣』だったりするし、その後『龍-RON-』とかで剣客漫画を描いてきた作者とすれば、現代の剣道大会で優勝するような警察官がタイムスリップして、幕末の剣豪と渡り合う話になってもいいだろうに、今回は医者。まぁ、やっぱり、一目でこの人凄いと思わせたり、恩義を感じて世話をしてくれるような人が現れる職業は、医者であろうし、その中でも外科医だろう。その時点で、勝ちである。政治学者や歴史家や科学者などは、役に立つかもしれないが、時代の立役者たちとうまい具合に出会えるような場面を作り出すことは、よっぽど作者の都合のいい作為がなければ、できるものではない。幕末の日本では、洋学といえば医学であったように、先端技術や知識は医学から入ってきたのだから、そのあたりも都合がいい。

で、この漫画では、幕末のヒーローたち、勝海舟、坂本龍馬、緒方洪庵、松本良順、西郷吉之助、近藤勇、沢村田之助などが登場するのだが、この作者のすごいところが、かれらを出来るだけ、残っている写真から忠実に描こうとするところ。一番衝撃を受けたのは

沖田総司

である。いわずと知れた新撰組一番隊組長の沖田は美男剣士として知られ、数々の漫画に描かれ、世の漫画好き女性を魅了してきたのだが、今回の沖田は、この誰もが見てみぬふりをしてきたあの恐るべき想像画をモデルにしているのだ(コレ)。

この画がどのような由来で描かれたものかは知らないが、これをモデルにして沖田を描いた漫画家を私は知らない。これだけでも凄い。しかも、この顔でこれまでの沖田像そのままに無邪気で爽やかな青年として造形しているのである。村上先生は偉大である。

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