山田風太郎『忍法創世記』小学館文庫、2005年
時代は南北朝末期。長年宿敵関係にあった柳生と伊賀の和解を実現するために柳生の三兄弟と伊賀の三姉妹の婚礼の儀が行われた。しかし、その後、柳生には中条兵庫守が、伊賀には世阿弥が現れ、北朝方に奪われようとする三種の神器を護るため、前者には剣法を、後者には忍法が伝授されようとしていた。そして、その背景には南朝併合を企む足利義満の陰謀があった。。
というような内容。自己の作品管理に厳しい風太郎先生は、この作品に不満を持ち、生前単行本化しなかったという。その理由の一つとして三種の神器を扱っていたからだとかまことしやかにささやかれていたようだが、はっきり言って風太郎先生の方針通り、あまり出来のいい作品ではなかったから、というのが理由だろう。
忍法ブームを作り出した風太郎先生の満を持しての伊賀忍法創世の物語にしては物足らない。私は大昔に風太郎先生の『婆沙羅』を読んで、あまりのつまらなさに風太郎忌避の傾向を作って、人生の大きな部分を損した気になったが、やはり室町ものは難しいのかな。風太郎ファンなら読むべき作品だが、最初にこれを読んでしまったら、ずいぶん不幸な風太郎体験になってしまうだろう。
登場する主な歴史上の人物
中条長秀、世阿弥、足利義満、後亀山天皇、細川頼之、日野業子など。
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