ざっと読んだ新刊漫画の感想。
村上よしゆき『新約「巨人の星」花形』第7巻、講談社、2008年
紅洋高校野球部の2、3年生対新入部員の対決で、1年生につらく当たる副キャプテンとキャプテンの過去を描くことで、その意味が明らかにされる。シニアで四番を打ち、チームをベスト4に導いたとされる芳賀君が実は名門・帝都高校野球部に入れないほどの実力しかないということで、何で弱小高校の先輩方に歯がたたないのかという疑問はとけたものの、またやってしまいましたね、この漫画。一番の見せ場、花形のランニングホームランのクロスプレー、捕手の足を軸にホームインするって、また『MAJOR』から拝借したようです。いいのか、これで。でも、もう『MAJOR』は現在の野球漫画の代表となってしまったから、もはやこれからの引用は今後避けられないのだろうか。村上先生、月刊誌にでも移って、じっくり描いてください。
藤原カムイ『ロトの紋章~紋章を継ぐ者達~』第6巻、スクウェア・エニックス、2008年
恥ずかしながら、藤原カムイのドラクエシリーズはまだ読んでしまうんですね。中学の時に読んだ『雷火』があんまりにも面白かったものだから、藤原カムイ作品は読み続けてしまうんだな。はっきり言って、表現は古いし、青臭いしで、『ロトの紋章』と『アンラッキー・ヤングメン』ぐらいしか面白いものはないわけですが、彼の絵が好きなのとドラクエ裏歴史をここまで書いてしまったわけだから、最後まで見届けようと。今回も進んでいるんだか、そうでないんだかで、前作で大賢者だったポロンが海賊王になってたりと、前作を読んでないと何も楽しめないんですが、いいんです。特にお薦めはしません。私の個人的な楽しみです。
鈴木みそ『銭』第6巻、エンターブレイン、2008年
待望の新刊。前回のエロ業界のお話の完結編と葬儀の値段前篇。今回も勉強になりました。素人ナンパ物の出演料は、顔消しで5万、顔出しで6~10万。単体物だと制作費40~80万で女優の取り分は半分ぐらい。素人の方は、ずいぶんと安く、単に身体を売るではなく、映像として半永久的に残るものにそれぐらいのお値段とは驚く限りですが、彼女たちは映像は残ってしまうという現状にどれだけ自覚的なのだろうか。売れっ子になると月に20本ほど撮るらしいから月収600万とされるが、女優人気は1年もてば大物とされる業界で20本もあれば、それ以上の収入は難しいだろう。なかなかギャンブルな業界だが、出演するものたちは後を絶たない。お金を稼ぐのは大変なことだ。それでもって、製作者側の方は、インターネットに押されてジリ貧状態。今後は質が落ちるのか、安くても出てくれる出演者が増えるのか、この業界も正念場です。葬儀の方は、人の死というものは高くつくようです。一番安いお棺で、お別れなし、見送りなし、坊さんなしで8万4000円。行灯一つで20万もする業界だと人並みの葬儀には250万もかかるのだという。お香典という奇妙な制度も、これだけかかるのだからお互いの助け合いとして必要なのだと再認識。これだけ金のかかることをしなければならないのだから、自然死、事故死は仕方ないとして自殺は本当に迷惑をかける行為だということを知っておいた方がいい。
さくらももこ『4コマ ちびまる子ちゃん』第1巻、小学館、2008年
どうやら『ちびまる子ちゃん』が『東京新聞』とかに掲載が始まったということを耳にしたが、ついに単行本化。最近、アニメの方は毒がなくなって『サザエさん』化してきたので観ていないが、やはりさくら先生の描く『ちびまる子ちゃん』は違う。面白すぎる。4コマになってからの活躍が著しいのは、藤木。本当は大して卑怯ではないのに卑怯と蔑まされ、この作品でほぼ唯一内省的な人物である藤木は、ギャグ漫画の中でも稀有な存在だろう。その存在が遺憾なく発揮されているところに、私は喜びを禁じえない。さくら先生は、4コマがうまいなぁ。ウニの話なんて、よく朝刊でできるよなぁ。まだまだパンクな精神が健在です。個人的には、妻を虐げながらも町の川の清浄化に勤める川田守さんの登場を期待。ちなみに私は自分の顔を似顔絵で描くと藤木に似ている。
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