2008年10月 3日 (金)

またOASIS

OASISの新作『DIG OUT YOUR SOUL』があまりに好すぎて、こればかり聴いている。これだけ狂ったように聴いたOASISのアルバムはない。おそらく、このOASISらしからぬへヴィでファンキーでグルーヴ感があって、サイケなところが逆にはまったんだろう。

その理由を考えていたら、どうやら私は正統的なOASISファンとは言いがたい、という点にあるのかもしれない。というのは、実はOASISの代表作「Live forever」がいまだに理解できておらず、そんなに好きではないし、『MORNING GLORY』を初めて聴いた時、「地味だなぁ」と感じて、無言で級友に返した記憶がある。その後、その好さが分かってきたが、でも一番好きなのが「Hello」だったりして(Maroon5がライブDVDでやっていた)、「Some Might Say」とか「Champagne Supernova」など正統派のファンが大好きな曲の好さが分からなかったりしている。でももちろん「Wonderwall」と「Don't Look Back In Anger」は好きですけどね。でも最高とは思わない。

私がOASISの好きな曲は、「Supersonic」「Acquiesce」「Let's All Make Believe」「I Can See A Liar」「Rockin' chair」「The Masterplan」「The Importance Of Being Idle」というような大名曲というより佳曲が好きなんですね。この中でシングルは2曲しかないし。といってもコアなファンにしてみれば、じゅうぶんミーハーな名曲ばかりだと思うかもしれないが、その分大名曲がそんなに好きでもないんだよなぁ。

で、今作は上記のものとそれほど共通点はない。それでいて今作があまりに素晴らしいから、じゃあ、OASISそんなに好きじゃなかったんじゃないの?という気になってしまったので、何か恐ろしい気分になってしまった。それでまたOASISについて、だらだら無意味に書いているんだろう。

でも、ホント好すぎだよ、『DIG OUT YOUR SOUL』!大名曲系がリアムの「I'm Outta Time」ぐらいしかないし、この曲を挟んでの前半のファンキーでソウルフルな「Bag It Out」「The Turning」(ボーナストラックのノエルヴァージョンもカッコイイ)「Waiting For The Rapture」。後半のサイケデリックな曲群(その中では「Falling Down」がイイ!)。これ完璧です。

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2008年10月 2日 (木)

OASIS『DIG OUT YOUR SOUL』

OASISの約三年半ぶり、通算7枚目のオリジナルアルバム『DIG OUT YOUR SOUL』が今日、amazonから届いた。

一聴驚愕、二聴賛嘆、三聴恍惚の出来。というより、これは本当にOASISか?というようなへヴィで捩じれたギターサウンドで、新人バンドのような斬新さと勢いがある。しかしそうはいっても、ここでこう来てほしいといった楽曲のツボははずしていないし、OASISらしくないのにOASIS以外の何者ではない、という力強さがあるのが、また凄い。前作は、原点回帰といわれ、OASISの再生が言われたが、OASISらしさとベテランバンドの成熟を感じさせる作品だったが、今作はOASISらしさがかなり抑えられ、まさに新生OASISの誕生を祝うかのようなものだ。

それはノエル作曲の作品に顕著で、比較的OASISらしい楽曲はリアム作曲の作品であるのは皮肉のようなうれしい誤算だ。OASISらしさとは、オープンなスタジアムで大群衆が合唱するような開放感にあふれたアンセムだと私は勝手に思っているが、本作の楽曲群は狭くて暗いライブハウスで轟音をかき鳴らして、合唱よりも体感させるような印象がある。そうしたグルーヴをOASISがやるとは意外な感じだが、前作発売当時のインタビューでノエルが「もうアンセムはやらない」といっていたのが、前作にもまして実現されたかたちだ。

伝え聞くところでは、これまでOASISをビートルズのコピーアンドと冷笑していた英国の音楽ジャーナリズムでも本作は絶賛されているらしく、おそらくそれは本作のクリエイティブなつくりに反応したためではないだろうか。セールス的に最も振るわず、OASIS時代の終焉を決定づけたといわれる4th『Standing on the Shoulder of Giants』が私はアルバムを通して聴くなら、一番好きな作品だが、そこでのサイケデリックな実験の失敗が、8年経ってやっと生きてきたんじゃないかな、と思う。

本当にOASISは凄い。これまでOASISを敬遠してきた方々にもお勧めしたい。

OASIS『DIG OUT YOUR SOUL』

1.Bag it Up ノエル・ギャラガー作 vo.リアム

2.The Turning ノエル作 vo.リアム

3.Waiting for The Rapture ノエル作 vo.ノエル

4.The Shock of The Lightning ノエル作 vo.リアム

5.I'm Outta Time リアム・ギャラガー作 vo.リアム

6.(Get Off Your)High horse Lady ノエル作 vo.ノエル

7.Falling Down ノエル作 vo.ノエル

8.To Be Where There's Life ゲム作 vo.リアム

9.Ain't Got Nothin' リアム作 vo.リアム

10.The Nature of Reality アンデイ・ベル作 vo.リアム

11.Soldier on リアム作 vo.リアム

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2008年6月28日 (土)

安彦良和『機動戦士ガンダムTHE ORIGIN』第17巻、角川書店、2008年

副題は「ララァ編・前」。

本巻は、アニメ版屈指の名場面ばかり。

副官ドレン大尉の戦死。「やさ男」カムラン。ガンダムのことを一番わかっている父さん。ララァとの邂逅。「この人は本気なんだよ、わかる!?」のスレッガー。「礼の一言くらい言ってほしい」シャア。「かしこい」ララァ。「ななあつ」のアムロなどなど。

これだけの名場面を一巻に入れてしまうのは、贅沢のようだが、逆に言うと安彦先生は、このあたりに大して思い入れがないのだろうか。また、やはり、本作を漫画として読むと違和感があるのは、アニメのような動きのある絵が静止画としてコマにおさまっているからだろうか。一コマ一コマに動きがあるのに、さらにコマわりがアニメのセル画を並べるような配置になって、一つ一つの表情の変化をすべて書き込もうとする場面があったりする。安彦先生の絵は、一つでその情景すべてを語るような叙情的な表現をできるものだと思うのだが、あえて動きを作ろうとしているのは、かつてのいしかわじゅん氏の批判を気にしすぎているのだろうか。私は、記号的であっても安彦先生の絵が好きなんだけどね。しかし、シャア一人異常にカッコいいなぁ。

今日の一枚

Kids In Glass Houses『Smart Casual』2008年

エモ系の新人。全体的に疾走感あふれるカッコよすぎるアルバムで、そのドキャッチーさが、すぐに飽きるんじゃないかと心配だが、しばらくは楽しめそう。個人的にはsyrup16gの「生活」のイントロを思わせる「Dance All Night」がお気に入り。

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2008年4月 5日 (土)

電気グルーヴ『J-POP』

前作『VOXXX』を聴いていいたのが、大学院受験を控えて、英文解釈問題集に取り掛かっていた時。それから、いつのまにか、研究室の長老グループに属する年齢に達してしまった。それだけ長い間待ち望まれた電気グルーヴの新作なのである。

タイトルが、『J-POP』というのは、明らかに一聴してカッコイイが、半年後にはもう聴かねぇやというような日本のポップミュージックを揶揄したもので、聴く前から覚悟はしていたが、うーん、微妙である。先行シングル『青春ヤング』『モノノケダンス』は、日本の音楽シーンとは明らかに異質ではあったもののこれまでの電気のもっていたポップセンスを遺憾なく発揮した曲ではあるが、本作のアルバムミックスでは完全にポップさは消え去っていた。

ほとんどの曲が、メインとなるメロディが背後に後退し、電子音のドラムビートが全面に出ており、アパート暮らしで大音量が出せない私の家のコンポのアンプからは50分間ほとんど「ド、ド、ド」としか聴こえてこない。イヤホンで聴いて初めて曲の違いが分かるというような感じで、しかもCD代金の対価の分聴き込まなければ、私のようなポップミュージック好きのはそのよさは分からないんだろう。

これまでの電気では、アルバムでシングル曲をミックスすることはあってもこれほど原曲のメロディを変えることはなかったように思う。これでは、『墓場鬼太郎』のあまりにカッコイイOPでファンになったオタクの皆さまを排除するために作ったようなアルバムであると同時に、従来の電気ファンも微妙な位置に立たせてしまうような気がする。アホさも少ないし。そういえば、私が本作を購入する際、某外資系CDショップで試聴していたら、三人ほどが再生してせわしなく曲をスキップして、買わずに去っていった。これが普通の感覚だろう。

前作を一日10回ぐらいリピートしていた私としては残念でならない。できれば、メロディとリズムを反転させた『逆J-POP』をリリースして欲しいものだ。そうすればかなり聴きやすいかっこいいアルバムになるはずだ。まぁ、こう書いてきていても、何度も聴くうちに気に入るかもしれない。実は前に紹介したアジカンのアルバムも悪口言ってたわりに何度も聴いているうちに結構いいアルバムじゃないかと感じてきたように。

でも、初回限定のDVDは良かったですよ。『少年ヤング』の監督は大槻ケンヂだし。

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2008年3月12日 (水)

ASIAN KUNG-FU GENERATION『ワールドワールドワールド』2008年

2年ぶりのアジカンの新譜です。

いやー、待ちに待った!というわけでもないのが、ちょっと寂しい。前作『ファンクラブ』は、評論家筋では高評価を得たようだが、正直、私にはぐっとくるような曲はなく、通して聴いたのは2、3回ぐらいだろうか。そして、その間のB面集『フィードバックファイル』は、存在も忘れていたし、買わなかったなぁ、と思っていたら、棚にささっていて、どうやら買ったらしい、とほとんど忘却のかなたにあったようだ。

で、本作なのだが、やはり前作の『ファンクラブ』の路線を継続して、バンドサウンドを前面に出しているような印象があり、またハイかロウかといえば、ロウな楽曲が続いている。つまり、地味って言うことだが、どうもあまりいい方向へいっていないような気がしてしまう。

私にとって、アジカンは疾走感あふれるギターサウンドと後藤氏の叫ぶようなボーカルと内省的な歌詞が魅力だった。そして、それにも増して、「君という花」、「ループ&ループ」、「Re:Re」(これが一番好き)のようなギターリフが印象的で、上昇感が全面にあらわれるダンス・チューンを演奏できるバンドとして好んでいた。しかし、前作ではそうした曲は影を潜め、今作では、それが復帰しつつあるとはいえ、それまではサウンドチームが控えめで、ボーカルが前面に出ていて、ダンスチューンでありながら歌モノとして成立していたものだったのが、弱くなっている。そこにバンドとしての成長は見られるが、楽曲としての地味さを感じさせてしまうところだろう。

と、悪口ばかり言ってきたが、今作での私の好きなダンスチューンは「No.9」、これが一番カッコイイ!「No.9」はたぶん憲法第9条で(英文ではArticle.9だけどね)、歌詞の「ミスター・パトリオット」はミサイルと愛国者をかけているんだろう。まぁ、こんな分かりやすい反戦歌をトップに押すのは私の趣味ではないが、一番カッコイイのだから、仕方がない。ジャケットに例のツインタワーが描かれていたりと、輪に加わりたいんだけど、一歩踏み出せない個々の子供たちに向けた曲をかいてきたアジカンもずいぶん政治色を出したものだと、思ってしまうが、憲法改正を唱える政権が退場し、イラクも軍の増派のおかげで小康状態にあるこの時期にあえて反戦歌を打ち出すという、時流に乗るのではなく、一つの主張として歌うという姿勢には好感を持ちます。まぁ、人間30にもなると考えるところもあるんでしょう。しかし、さっき私が書いた上昇感あるギターリフ、歌モノとしてのボーカルの存在感、踊れるロックという条件にあったど真ん中の曲で、本当にカッコイイ。こういうのをもっとお願いしますね。次回作も期待してます。

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2008年2月12日 (火)

南條範夫・原作/山田貴由・漫画『シグルイ』秋田書店、2004年~

話題にはなっていたが、なかなか手が伸びずにいて、ほうっておいたが、ついに読んでしまった。面白い。ここまでやるか、という肉体と残虐な描写。発想としてはあっても、現実に乳首を指でつまんで切り取るとか、腹をつかんで臓物を引き出すとか、初めて画でみた。こんなもの描いてしまう人がいたんですね。怖い。けど凄い。

舞台は、徳川時代初期。徳川家光との後継争いに負けて、精神に異常をきたしている残虐な暴君徳川忠長は、武芸者の真剣による殺し合いを見てみたいと、御前試合を設ける。出場剣士11組22名、敗北による死者8名、相討ちによる死者6名、射殺2名、生還6名、内重傷2名という惨憺たる結果に終った御前試合の第一戦目は、同じ道場に学んだ因縁のある、隻腕の剣士・藤木源之助と盲目で片足が不自由な伊良子清玄。物語は、彼らが出会う遠江国岩本虎眼道場から始まる。

本作の主人公は、藤木と伊良子であるが、読者の視点は、夜鷹の息子で最底辺から成り上がろうとする天才剣士の伊良子ではなく、藤木よりのものとなっている。原作がどうなっているかは分からないが、野心家の伊良子はかなり悲劇的な人物で、『ベルセルク』のグリフィスのような存在だが、伊良子へのリンチに加わっている藤木が主人公になり得るのは、御家大事と考える愚直さが誠実さに見えるのに対し、伊良子のあまりに破壊的な野心のためだろう。しかし、それにも増して、彼らの運命を変えてしまう魔人・岩本虎眼の存在感が凄まじい。濃尾無双を名乗り、将軍指南役の柳生宗矩をも凌駕する実力を持ちながら、300石の扶持に甘んじている。そして、この物語の時代には、すでに精神が「曖昧」な状態で、狂気を発している。この不気味な人物を造形したところで、本作が傑作になりえた理由であり、原作では30頁程度という第一戦が、すでに単行本9巻にまで及ぶ大作になってしまったのも、彼の存在感のためだろう。これ以上書くと完全なネタバレになるからやめときますが、いやー、つづきが気になります。

余談だが、原作者南條範夫は、國學院大學や中央大学の教授を歴任した学者小説家で、『願人坊主家康』説(林羅山が言及している出生の異説)を採用したことで知られているが、本作でも何の説明もなく、これに言及していることに驚く。読者は、みな『影武者徳川家康』を知っているのだろうか。また同時期に連載が始まった『センゴク』の描写でいちやく有名になった豊臣秀吉「指六本」説もふれられ、岩本虎眼の人物造形にも使われているのをみると、異説を採りいれた原作者へのオマージュの意味もあるのかな。

今日の一枚

Radiohead『In Rainbows』。新作を出すたびに今年最大の傑作になってしまうレディオヘッド。何か、彼らを好きだとプロフィール欄にでも書いておけば、ロックが分かっているとか、カッコイイとかいう雰囲気のある、口に出してハズレのないバンドである。しかし、私はいまだにその魅力をつかめていないカッコ悪い人間です。かといって毛嫌いしているわけではなく、全作品持っていて聴いている。だが、いいものなのだとは思うが熱狂的に好きになるというものにならない。私が好きなのは『The Bends』で次が『Pablo Honey』で、あと『Hail To The Thief』のジャケットがスイスの画家パウル・クレーに似ていて好きだが、それ以外はイマイチよく分からない。それなのに、売れている。純粋な音楽ファンにだけ受けているというなら、分かる気がするが、大衆的な人気を博していることに驚く。みんな本当に聴いていて楽しいのだろうか、ファッションとしてハズレがないからだろうか。分からない。しかし、レディオヘッドのおかげで自分が音楽の分からない野暮な男だとやっと気づいたので、EXILEさんとかコブクロとか聴いている人に眉をひそめることはなくなりました。結局、音楽の好さなんか、好きか嫌いかなのでしょう。しかし、音楽の分かるクールな方々には本作はお薦めです。

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2008年1月25日 (金)

借りたCD

先週末からツタヤが半額レンタルをやっていて、昨年末についに文明の利器ipod-nanoを手に入れた私は、CDを借りてきた。

まずはSonic Youth『Dirty』(1992年)。90年代初頭のグランジブームの旗手のいわずと知れた名盤ですね。前作『Goo』は聴いていたのだが、数曲よかったけど、それほどはまらず、こちらを聴いていなかった。で、本作は、Nirvanaの傑作『Nevermind』のプロデューサーにして、Garbageのメンバー、ブッチ・ヴィグがプロデュースしてるんですね。全体的にヘヴィで歪んだギターが響き渡り、退廃的な雰囲気のあるアルバムで、カッコイイね。でも、はまらないなぁ。私にはカッコよすぎるのでしょう。

次は髭(HIGE)『Thank you, Beatles』(2005年)。現在の日本のロックバンドでもっともカッコイイサウンドと歌を聴かせてくれるバンド。でも、新作よりもこちらがいいね。前も借りたけど、ipodのために再レンタル。何度でも何万回も伝えてくれるメッセージソング「Acoustic」は何度聴いても名曲。

次はSoft Ballet『1989-1991 the BEST 』(2003年)。BUCK-TICKが好きな人は何故かソフト・バレエも聴いている。私は実はソフト・バレエが先で、その後BUCK-TICKに入った変り者だが、中学の頃、YMOばかり聴いていた変な子供だったので、その時現役でやっていたテクノポップなロックバンド、ソフト・バレエに手が伸びるのも自然だったのだろう。オリジナル・アルバムは実家においてあるため、ipod用に借りたが、「Body to Body」と「Private Pride」がやっぱりカッコイイ。「体から体へ~♪」のコーラスを聴くと森岡賢の妙なダンスを思い出す。

お次は電気グルーヴ×スチャダラパー『電気グルーヴとかスチャダラパー』(2005年)。電気グルーヴは昔から好きだったので、ずっと気になっていたんだけど、ついに聴いてみた。あまりラップを聴かない私ではあるが、部分的にラップの入っている曲は好きなので、これもいいねぇ。全曲それほど、ハズレなしで、特に「Love Love Session」がイイッ!

次はレイ・ハラカミ『わすれもの』(2006年)。くるりの「バラの花」のリミックスを手がけ、『Snoozer』の年間ベスト常連というわけで、聴きたいなぁと思っていた。歌詞なしのインスト曲だけのアルバムで電子音が心地よく、これを聴きながら執筆作業をやっていたら、やっと加藤弘之『人権新説』が何をいいたい著作なのかやっと理解できた。

最後にsyrup16g『coup d'Etat』(2002年)、『静脈』(2006年)。前者はメジャーデビューアルバム。後者はベストアルバム。前者は5年前ぎらいに聴いて「手首」の「くだらない事 言ってないで 早く働けよ 無駄にいいもん ばかり食わされて 腹出てるぜ」という歌詞を笑っていたが、今聴くとココロに刺さります。お気に入りは「天才」、「ソドシラソ」ですが、ベストの方でやっと「生活」を聴くことができて、これはホント名曲だな、と。新曲でないでどうしたのかな、と思っていたら、今年解散してしまうのね。いいバンドだったのにね。

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2008年1月11日 (金)

買ったCD

昨年末頃に出たのだけど、買ってなかったCDを収入があったので買い。

一枚目はスウェーデンのバンドで2001年にイギリスのOASISなどを世に出したアラン・マッギーに見出され、コンピレートアルバム『Your New Favourite Band』が大ヒットし、ロックンロールリバイバルの旗手とされたThe Hives『The Black And White Album』。おそらく現在もっともおバカでカッコイイバンドの新作は、これまでの初期衝動に依存した勢いばかりの曲だけではなく、ファンキーでスローなナンバーまで披露しており、ボーカルのペレの歌唱力の幅も広がっている。まさにメジャーを意識したアルバムだ。前作までは比較的同じ曲調が並び、いいのだけど、アルバム全体を聴いているとやや飽きがきて疲れてしまったが、本作は違う。個人的に好きなのは、「Won't Be Long」。ちょっと、フランツが入ったようなダンスナンバーでカッコ好すぎ。

二枚目は、日本人二人のユニットだが、海外でのデビューで注目されたためか洋楽扱いのBoon Boon Satellite10周年を記念する『EXPOSED』。前作までは、かなりマニアックな志向でアルバム全体では最高なのとそうでないのとがずいぶんと分かれて配置されていたように感じるが、今作はすべて良い。その違いは今作がかなり歌物に重心をおいて、これまdねおダンスミュージックの文脈の中で、かなりロックな作品になっている。おそらく最高傑作ではないか。どの曲が特に良いかというは難しい。とにかくすべてが名曲なのだ。

最後にCDではなく、DVD。2005年のワールドツアーを完全密着したロードムービーOASIS『Load Don't Slow Me Down』。本編に加えて故郷マンチェスターの凱旋ライブまで収録されている。最新のライブ映像はもちろんのことだが、OASISの偉いところは、ドキュメンタリーであってもちゃんと観られる作品としてエンターテイメントとして成立しているところだ。これはギャラガー兄弟のインタビューが面白いというのがあるが、やはり「最後のロックスター」リアムは映っているだけで凄い。カッコイイし笑える。かくいう私も足を運んだ日本ツアーにかなりの部分が裂かれているように思えたが、そこで良い画がとれたのか、商業的なことを考えたのかは不明だが、日本のファンとしてはうれしいところ、ライブ会場で「ルパンが歌ってるッ!」と笑わせてもらったリアムのモミアゲを再び観られて、あの時の感動を呼び覚まされた。

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2008年1月 2日 (水)

どこよりも遅い「BUCK-TICK武道館ライブ」レポ

昨年は、年の暮れのご挨拶もなく、何となくフェイドアウトでわがブログも年を明けたということでご挨拶させていただきます。あけましておめでとうございます。

当初の予定とは異なり、だんだんと時間をかけない趣味ブログと化してきた当ブログですが、今年初のエントリーはまさに趣味。しかもBUCK-TICKライブレポ。しかも年越しで。

BTライブは昨年に引続き。2000年あたりから毎年12月29日は武道館ではBTがライブをするようになっているようだが、少し不思議なことは、最新アルバムの総売上が3万枚程度のバンドが武道館でライブができるということ。考えてみれば、これは凄いことで武道館は最大収容人数1万5千人程度らしいので、アルバムを買った人間の約半数がこのライブに足を運ぶことになるのだ。これだけファンとバンドの連帯感が強く、またどれだけ秀作を制作しても一般の人から「バクチクってまだ新曲つくってるの?」と思われてしまうぐらい、一般人から隔絶された世界が凄い。というか、ブームによるファンがいないためにチケットの争奪戦がないというのもありがたい。かくいう私も二週間前くらいに楽々とチケットを取れたのだ。

というわけで当日、足を運ぶと武道館の門内には何故か長蛇の列。あれはイベントグッズの列なのか、それとも指定席でない人の群れなのか。よく分からない。私は指定席であったので普通に入れたのだが、上記の通り、ギリギリになってチケット購入したため、席は二階席のステージの真横。周囲には私と同年輩かそれ以上の男性や女子高生らしき人がいたが、10代の子は一体何をきっかけにBTを聴いたのだろう。しかも後に分かったことには彼女たちはライブ慣れしていて、手の動きや掛け声も堂にはいっていた。17:30開場、18:30開演なので18:20ぐらいに席についたが、開演時間になっても席はまばら。いつもは真正面とかだから気づかなかったが、真横の席だと全体の空席状況が見渡せる。どーなってるんだと思っていると、40分ぐらいに席は埋まり始め、45分ぐらいになるとだいたい埋まる。ライブで開演時間通りに始まったためしはないなぁ、と思っていたが、なるほど、これだけ空席があれば、バンド側としてもやりたくないし、まだ外で並んでいる人たちに気遣って開演しないのもうなずける。

そうこうしているうちに、開演される前に流れていた何故かジャズの音楽が途切れ、会場は真っ暗に。真横の私はステージに続々とメンバーが上がっていくのが見えたが、正面には垂れ幕があり、正面席の人々には見えていないらしいが、垂れ幕にライトアップされているだろうロゴとかは見えず、後ろで次々に垂れ幕を落としていくスタッフの姿しか見えない。そして最後の幕が落ちると「あっちゃん」こと櫻井敦司の黒いシルクハットに杖というチョコレート工場の主人のような悪魔然とした姿がライトアップされ、一曲目「Mr.Darkness&Mrs.Moonlight」が。この曲は最新アルバム『天使のリボルバー』の一曲目でライブの開演にまさに相応しい。私など「悪魔がいる、悪魔が降臨なさった」とクラウザーさんのファンのように引き込まれていく。次の「 La vie en Rose 」は、サビでのあっちゃんの昭和歌謡な踊りに笑わせてもらい、来ました「モンタージュ」ッ!!この曲はBT屈指のライブ向けの曲で、「バラードなんか聴かねぇよ」なプリミティブな私が大好きな曲で盛り上がる。「Yeah Yeah Yeah Yeah Yeah Yeah Yeah !」な曲なので、私も合唱。ここまで暗黒ソングがつづいた後でポップな「リリィ」。で、次はあっちゃんの「もっと狂わせてください」とのMCの後、「狂いそうだ 狂いそうだ」だから「CREAM SODA」。あっちゃん、狂ってましたねぇ。今回、ずいぶん機嫌がよろしいようで、狂い謳ってくれました。次は旧曲「MY FUNNY VALENTINE」。私、これも好きなのよね。ポップでファンキー、あっちゃんの低音コーラスがいいんだなぁ。生であの低音コーラスが聴けて感激です。次も旧曲「Tight Rope」、新曲「Snow white」 と美しく謳いあげてたねぇ。次が「見えない物を見ようとする誤解、全て誤解だ」。名作『six/nine』からシングルカットされたし、ライブでよくやるから人気があるのだろうけど、いまだによく分かりません。これが私が「大ファン」でないところでしょうか。で、「スパイダー」、「むじょお~だ~」の「絶界」とつづき、「20年やってきました。ありがとうの気持ちを込めて」とシングル曲「RENDEZVOUS~ランデヴー~」。いまどき、「ランデヴー」という曲名を新曲につけられるのはBTだけでしょう。そのカッコ悪さを堂々とやってしまえるところがカッコイイ。CDで聴くと大した曲ではなく、BTはいつもシングル選びが下手だと思っていたが、ライブでやるとさすがにシングル曲。一番盛り上がったねぇ。何度も「ありがとう」っていってくれる曲だしね。そして「Alice in Wonder Underground」「BEAST」「REVOLVER」「RAIN」とアルバム屈指の名曲をつづけてライブは終了。

もうおっさんの私は立ちっぱなしで疲れて休んでいると、アンコール。

アンコールは、今井寿が「楽しんでる・・・け」とMCした後、彼のボーカル曲「Sid Vicious ON THE BEACH」。この曲は、私が一番BTを離れた頃(アルバムを一回ぐらいしか通して聴いていない)の曲なので、皆さんはサビで合唱していたが、参加できず。次はあっちゃんが戻ってきて、今井寿のテクノ魂を昇華していた頃の「Baby,I want you.」。これいいなぁ。私、YMOから音楽に入った人間だから、テクノな踊れるロックは、音楽の原初体験を呼び起こす。次は「JUPITER」。これもバラードながら、いい曲だねぇい。好きです。ここで1stアンコールが終って、次のを待つ。

2ndアンコール一曲目は、「SEXUAL×××××!」。歌い終わった後に「20年前の曲です」とMCが入ったが、ダサカッコよいねぇ。そして、次は「die」。で、このあたりで観客は期待を込め始める。というよりアレを聴きたいのだ。

大日本ツンドラ教賛歌「夢魔-The Nightmare」を。

あっちゃんとみんなと「ツンドラ」したいのだ。周囲でも「ツンドラ、やんないの?」という声が聞こえ始める。しかし、次の曲は「MY EYES&YOUR EYES」という20年前の地味なアルバム名曲。。これには少なからずずっこけたが、まさに唯我独尊。彼らの不器用さとファン心理を虐めるサディスティックな姿勢に感心するが、その時、「ちゃらちゃらちゃらちゃらちゃららり~」とギターが奏でられると、「ああっ」と曲さながらの歓声とともに「スピード」ッ!これによって、何か鬱屈した気分もぶっとび、スピードでキメられるのだ。これで何となく、帳消し。ドリフの「ババンバ、バンバン、バン」みたいなもので、ライブも締まる。

ここまで長々と書いてきたが、今回の感想としては、あっちゃんのご機嫌が好かったのが、一番よかったなと。こちらは客なんだけど、相手は魔王なのでこちらも気を使ってしまうのが、悲しいところ。でも、バンドがご機嫌に最高のアクトを見せてくれることが、一番いいことなんだな。私に向かって手を振ってくれた(と皆が思っている)ユータとあっちゃんのからみが多かったのも、きっと女性ファンを満足させたことでしょうしね。

セットリスト(たぶん)

Mr.Darkness&Mrs.Moonlight
La vie en Rose
モンタージュ
リリィ
CREAM SODA
MY FUNNY VALENTINE
Tight Rope
Snow white
見えない物を見ようとする誤解、全て誤解だ
スパイダー
絶界
RENDEZVOUS~ランデヴー~
Alice in Wonder Underground
BEAST
REVOLVER
RAIN

EN1
Sid Vicious ON THE BEACH
Baby,I want you.
JUPITER

EN2
SEXUAL
die
MY EYES&YOUR EYES
スピード

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2007年6月16日 (土)

KAISER CHIEFS『Yours Truly, Angry Mob』ユニバーサル・インターナショナル、2007年

発売が2月26日というわけで今さらという感じがするが、ホント今こればかり聴いています。世間的にはアークティック・モンキーズが現在のUKロックの代表だろうが、どうも私には良さが伝わってこない。俺の今は断然カイザー・チーフスだね。

カイザー・チーフスといえば、デビュー作のアイドル的なルックスでポップでキャッチーでキュートな曲という印象を持ってしまい、ブリッドポップとか言われていた恥ずかしい時代のブラーやパルプの再来かと敬遠していたのだが、本作は違っていた。

ジャケットからして、もう単なるアイドルバンドじゃねぇぜという不遜さを表しており、マッチョな臭いがプンプンである。1stシングルの「Ruby」はアイドルポップさが残るものの、私のお気に入りのタイトル曲「The Angry Mob」などは、従来のキャッチーさに加えて合唱することで大衆を煽動するようなアグレッシブなキラーチューンに仕上がっている。しかもこの容姿の何だ。もうオッサンじゃないか。でもカッコよすぎるぅっ!先日の学会報告もこれを聴いて、気合入れてから望みましたよ。

全体としての印象はまさに前作のポップさからの脱皮を図ろうとする移行期にあたる作品のような感じだ。例えるなら、ブラーにおける2nd『Modern Life is Rabbish』のような。ということは、次作品がカイザー・チーフスにおける決定打となるアルバムになるだろう。でも私はきっと次回作よりこちらが好みだろうね。ブラーも『Park Life』より2ndの方が好きだし。

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2006年12月29日 (金)

平成18年極私的CDベスト5

前回に引き続き、今年を振り返ろうというエントリー。

CDといっても基本的には邦楽・洋楽のポップミュージックを挙げるというもので、他愛のないものです。しかも「極私」と銘打つとおり、全く主観的なものであるが、メジャー志向の私はほとんどマイナーなものは挙げません。とうより知りません。また結局、音楽の好みなんかは好きか嫌いかの二分法でしかないので、共感を得られるものを挙げられるとも思えない。というわけで、今年のベスト。

第1位 吉井和哉『39108』

第2位 My Chemical Romance『The Black Parade』

第3位 The Vines『Vision Valley』

第4位 Kasabian『Empire』

第5位 The Lodger『Grown-Ups』

次点  Oasis『stop the clocks』

金返せ Arctic Monkeys『Whatever Peaple Say I Am, That's What I'm Not』

こんな感じです。

第1位は、ザ・イエロー・モンキー活動休止後、3枚目になる吉井和哉のソロ作品。しかも、前2作は「Yoshii Lovinson」名義であったのに、今回は「吉井和哉」で。この変化というのは、非常に大きい。やはり前2作は、「イエモンのフロントマン吉井」という重圧や虚飾から抜け出したいという苦悩から生れてきた作品で、重苦しく、地味であった。とりわけ1stは聴くのが苦痛で買ってはみたものの正直あまり聴いていない。2ndは前作にくらべれば、ポップ志向を取り戻してはいるものの、まだ何かイエモン的なるものを押さえ込もうとする意識が垣間見えて、各楽曲素晴しいものはあったものの、作品としてはイマイチな出来であった。それが今回どうであろう。完全にロックスターとしての吉井が帰ってきた。これはホントに何度も聴いたし、それごとに感動を新たにし、笑わせてもらった。かつて吉井はエッセイ集で「ロックスターは笑いの要素があってこそ、ロックスターである」というようなことをいっていたが、本作にはその要素はふんだんにある。ロックはむちゃくちゃな言葉をむちゃくちゃな音楽を鳴らして、自己を表現する音楽形態である。

「ちょっとだけ触ってここ持って触って ヒヤリと冷たいアイスです」(HOLD ME TIGHT)

「寒い朝にこっそり おにぎり握るように 愛してくれない?」(I WANT YOU I NEED YOU)

こんな表現、普通思いつかない。前者は実際曲を聴いているとドキリとくるところをうまくかわして笑いにし、後者はこれほど深い愛のかたちをこんな言葉で思い浮かぶだろうか。このむちゃくちゃな言語感覚が吉井の持ち味であり、それでいながらそのおかしさがずしりと心に響く荒業が各曲に溢れている。本作は吉井のキャリアの上でも『sicks』以来の大傑作であり、日本ロック史上でも傑作に選ばれる価値のある作品だ。

「遠回りしても 良かったと言える 大人になりたい」(WEEKENDER)

吉井は実現しただろう。私もかくありたい。

第2位は、今年の暮れに真打登場とばかりに発表されてしまった大名盤である。私は今作までマイケミを聴いてはきたが素通りしてきた。正直、キワモノ扱いだったのだが、全く認識を改めされた。これほど素晴しい楽曲を奏でられる潜在力があったことは驚きだが、本作は確実に今年を代表する作品であり、永久に語り継がれる大傑作だ。

「僕はただの人間 ヒーローなんかじゃない ただの少年が 

この歌を歌わなくてはならなくなっただけ 

僕はただの人間なんだ ヒーローなんかじゃない」(Welcome to The Black Parade)

もはや彼らは自らが生み出した作品が、ただの歌ではなく、歴史的に意味のあるものであるということを自覚している。「ヒーローなんかじゃない」でもロックスターだ。

第3位はThe Vinesの復活作。1stの初期衝動の乱暴さを うまくコントロールできた、激しいながらも落ち着いた曲調にクレイグの精神の安定と成長を感じさせる。1stの衝撃にとりつかれた人なら物足らなさを感じるだろうが、作品としての完成度と聴き易さでは、これを超える出来だと思える。1stはシングル曲が走ってる感じだったが、今回はすべて佳作なのだ。アルバムとして素晴らしい。一曲目の「あんたあの娘のなんなのさ」の宇崎竜童か!?とツッコミたくなるイントロが耳から離れない。。 しかし、日本で大失敗をやらかしてくれただけに、今後の日本でのセールスはあまり期待できないだろう。t.A.T.uのように。

第4位は、1stでアングラ的雰囲気を持ちつつも大ヒットしたKasabianのポップさを意識した作品で、何よりも聴きやすい作品へと変化したのに驚かされ、自らがメジャーのスタンダードになろうとした闘争心を垣間見える意欲作。派手さはないが、この恐るべき闘争心が充満しており、四の五の言わずに聴け!という感じだろうか。

第5位は、駆け込み的に年末に発売された佳作。帯の「生粋の音楽オタクが生み出した、完全無欠のポップネス」というコピーが物語っているように、本当にポップミュージックが好きなのだな、と思わせる大名曲なしのB級ロックの素晴しさ。全編通してとにかく心地よいサウンドがいいんだな。でもあまりに完璧に出来すぎているために、今後の展開が難しそう。

次点は、Oasisのベスト。本来なら5位以内に入れたいところだが、何せ新曲なしの名曲ぞろいなので「全部持ってるよ」と思いつつ買ったので。やはり新曲ないと今年の名盤には入れたくない。せめてサントラ『GOAL!』収録の大名曲「Who Put The Weight Of The World On My Shoulders?」ぐらい入れて欲しかった。しかし、今作で垣間見える現在のOasisの基準では私好みのいかにもロックな佳作群は入らないんだなぁ。でもこれのおかげで全アルバムを聴き返して、実は『Standing On The Shoukder Of Giants』がかなりの名盤で、今や一番のお気に入りになったという収穫があった。世評に惑わされず、作品に向き合うことって重要ですな。

金返せ これは世間的には好評かを得ているようだが、どうも期待はずれ。先行シングルの「i bet you look good on the dancefloor」を聴いた時は、「これは凄い!」と思ったものだが、期待が大きかったのとアルバム発売までの期間があいたせいか、関心も薄れもはや面白味を感じなかった。あとRed Hot Chili Peppersの新譜も期待はずれだったかな。美メロバンドなんてやってないで、かつてのようなパンキッシュな作品をお願いしたいものです。

さてこのようなセレクションであったわけですが、私にはロックに関する一つの指針があります。それは日本史上最大のロックスター大杉栄の次のような言葉です。

「ロックには方向はある。しかし謂はゆる最後の目的はない。一ロックの理想は、其の謂はゆる最後の目的の中に自らを見出すものではない。理想は常に其のロックと伴ひ、其のロックと共に進んで行く。理想がロックの前方にあるのではない。ロックそのものの中にあるのだ」(「生の創造」いうまでもないが原文は「ロック」=「運動」)

今回のセレクションには新人も挙げておいたが、やはりロックというのは、ミュージシャンの自己と社会との違和感の緊張の中に自己表現するジャンルであると思う。その中には表現者自体の使命感や苦闘が痕がなければならない。そのため、ロックは作品ごとに現在の自分が一層烈しく表現する過程が魅力なのだ。そんなわけで、作品ごとにやめればいいのに作風を変えてしまう不器用な生き方をするのがロックスターなんだろうな。

大したまとまりがないままに、今年最後のエントリーを終えて、読んでいただいた皆様にとって来年も良い年でありますように。では、良いお年を!

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2006年5月18日 (木)

Red Hot Chili Peppers 『Stadium Arcadium』ワーナーミュージック、2006年

一聴、地味である。
『BSSM』のレビューで書いたように、ちょっと落ち着いてしまった感がある。ファンクの復活を謳っている様だが、あまりこれっという感じがしないし。ビデオクリップでは、まだまだレッチリ健在というところだろうが、曲が大人のバンドになってしまったような感じがする。しかし、前2作に大きな需要があったように、これがレッチリとして受容されるのであろうが、10代の人たちが感激するようなものだろうか。レッチリは、ジャケットも見せるバンドだったが、今回はどうなんだ??
とはいっても、私ももう年なので、こういう成熟したロックも嫌いではない。退屈はしない??秀作。

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2006年5月13日 (土)

Red Hot Chili Peppers『Blood Sugar Sex Magik』ワーナーミュージック、1991年

新作が出た(未聴)ということで、旧作を。
私はRHCPを『One Hot Minutes』から入るという悲しいRHCP体験をしてしまった為に、それほど評価は高くなかったのだが、本作はカッコイイ。
名曲「under the bridge」に泣きが入る。
でも、近作は「under…」の美メロ路線ばかりで、ちょっとつまらない感もあるので、是非チャレンジングな作品を期待したいが、さて。。
しかし、一曲目のラップを聴くと、ああこの時ってM.C.ハマー全盛期であったと感じてしまう。

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2006年3月31日 (金)

blur『Modern Life is Rubbish』1993年

昨年末の『snoozer』のイギリス特集でブリティッシュ・アルバム50枚を選ぶ企画で、ブラーは、本作が17位をつけられていた。この時は、それほど関心を示さなかったのだが、新宿Tower recordで視聴コーナーが設けられており、聴いてみたら、驚いた。なんて、美しい曲なんだ!!

他の曲も私が聴いてきたブラーとは異なるギターサウンドを主としつつも、後のダンスポップの予感を感じさせる技巧もちりばめられている。何故、もっと早く聴かなかったのか悔やまれる。例によってジャケットがイマイチだからだろうか。ブラーを『park life』で代表させるのはもったいない。あの作品も名作であるのは間違いないが、あまりに時代に寄ってしまっていて、ある種聴くのが気恥ずかしくなる気分になる代物だ。しかし、本作は違う。前作もいいけどマンチェバンドのマネっこという感じを抜けきらなかったのに較べて、本作は英国ロックの伝統の継承と次作で確立したブラーサウンドの絶妙な調和を表現した傑作である。ロックに苦闘して先が見えなくなっているブラーの歴史を知ってこそ、この作品に価値があるのかもしれないが、ブラーを聴いてみたいと思っている人にこそ、お薦めしたい一品だ。

でも、とにかく「For Tomorrow」のコーラスが耳から離れない。タワレコでは、輸入盤しかおいていなかった。私は気に入った作品は歌詞と解説を読みたい人間なので、輸入盤はできれば避けたい。それから数日、捜し回ったがどこにもないのですね。ついに輸入盤をRECOfanで破格の値段で買ってしまった。レコード会社さん、再販を願います。

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blur『leisure』1991年

私が洋楽を聴き始めたのは、94年の後半あたりでブリットポップ華やかりし頃である。しかし、運動部でそれほど金のない高校生であった私は、同時代の音楽にすぐさまふれることはできなかった。しかも、ラジオや雑誌というメディアにも関心を示さなかった私に入ってくる情報は、深夜テレビのそれであった。そのため、非常に断片的な情報しか分からず、オアシスとブラーが仲が悪いらしいということと、結局オアシスが勝利をおさめて、モンスターバンドになったというようなものであった。

そんな中、私はブラーにふれた。単に有名だから、たまたま中古屋で発見したから、というに過ぎない。それは、3rd『The Great Escape』だった。一曲目からの襲い掛かるような奇妙な擬音から始まる「stereotypes」に一気にやられてしまった。テレビで流れる流行邦楽とは全く違う新しさを感じた。だからブラーに求めるものは、何か聴いた事のないような「音」というものだった。しかし、私の期待とは裏腹に、ブラーは、4th『blur』でそれほど真新しくないような曲調に変り、正直関心をなくした。

当時の私は単純に人間は成長し、新しい作品ほど良いものだと勘違いしてしまって、新しいものだけ追っかけて、旧作は聴こうともしなかった。しかし、音楽を聴くにつれ、作品は劣化するものだということに気づいてしまい、処女作が最も良いものだと、また極端に変ってしまった。

そんなわけで遅ればせながら、何を思ったかブラーの1st『leisure』をDisc Unionで発見して買ってしまった。1曲目から陶酔感を感じさせつつも、ポップでキャッチーな曲で始まり、まだストーン・ローゼスの衝撃が覚めやらない時代の雰囲気を全体的に感じさせる。しかし、ローゼスの無駄に長い退屈さを感じさせない心地いい切り替えも本作品を聴いていて、飽きさせない。初期衝動に依存しない余裕を感じさせるのも、60年代のサイケなロックの美しさと90年前後のマンチェスタームーブメントの陶酔感の見事な融合、継承がなせる業である。

ブラーって、こんなバンドだっただなぁ。初期作、イイです。ジャケットはイマイチだけど。

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2006年2月21日 (火)

Bent Fabric:JUKEBOX

どんな熟年男性がモテるか。

ピアノがひける男性

だという。何故なら、

「僕、ピアノが弾けるんだ」

「あら、聴いてみたいわ。うちに使ってないピアノがあるのよ。良かったら、いらして」

という展開が期待できるからだそうだ。これを聞いた井上章一が再びピアノに取り掛かり、その悲哀を描いた『アダルト・ピアノ』(PHP新書)は電車読書には適した名著である。

さて、今回購入したBent Fabric『JUKEBOX』はまさにこの意味でモテる要素十分な81歳の男性ミュージシャンの作品だ。

Bentはデンマークの現役ジャズ・ピアニストで、1962年度グラミー賞「最優秀ロックンロール・レコーディング」を獲得している人物だ。グラミー賞を獲得できたそもそものポップセンスに現代のサウンドクリエーターが加わり、新たなダンスチューンを生み出した。

現在、外資系CDショップではコーナーを作って売り出しており、ポップにはファットボーイスリムやジュニア・シニア好き向けと書かれている。私個人としては、ファットボーイやジュニア・シニアよりもこちらの方が好み。無駄に技巧めいたものはないし、とにかくポップでファンキー。もともとジャズピアノ好きな私にはガッチリきた。

全曲飛ばさずに聴けるのが名作ポップアルバムの条件とすれば、これは軽く飛び越えている。ポップミュージックとは、誰でも入り込めて、時代が要求する音楽ということになろうが、本作はまさにそれ。

これは売れるんだろうな。まぁ、売れに売れて聴いてるのが恥ずかしくなって、棚の奥に隠れるのがポップミュージックの使命なら、このアルバムは十分その役割を果たすだろう。とりあえず、1ヶ月ぐらいはレギュラーで聴ける。そんな作品。

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